宮城の海で珍しいクラゲを発見!-本学 出口竜作教授の研究成果について紹介します。

 出口研究室では、宮城県沿岸のいくつかの漁港でクラゲ類の調査を続けています。最近では、海水温の上昇にともなって、暖かい海に生息する種も多く採れるようになってきました。

 宮城県女川町出島(いずしま)において、2024年に加茂水族館(山形県鶴岡市)?広島大学?ヴィルフランシュ海洋研究所(フランス)と合同でおこなった調査では、コモリクラゲ(学名: Eucodonium brownei, 図1)を200個体以上採集することができました。これまで三重県と山形県でわずかな数が採集されただけの、国内3例目となる珍しいクラゲです。普段はクラゲの中に小さなクラゲができて、それを分裂させるという『無性生殖』で殖えています。

 今回、本学初等?理科コース4年の早坂綾香さん(図2)が中心となって、世界で初めて本種の飼育に成功し、25℃付近になると卵や精子を作って『有性生殖』に切り替えるというしくみをもっていることを明らかにしました。この成果は、日本生物地理学会会報第79巻に掲載されるとともに、加茂水族館のHPでも紹介されています。

図1 コモリクラゲ
大きさは1 mmほど。傘から4本の触手が生えており、それぞれの先端がふくらんでいる(水色の矢印)。
中央部にある胃のまわりに、小さなクラゲのもととなるクラゲ芽(黄色の矢じり)が形成されている。
図2 顕微鏡でクラゲを観察している早坂綾香さん